受け持った依頼。
悪夢に囚われた奴がいるという。
……いらいらした。
エクスブレインは言った。
囚われの奴自身が悪夢から抜け出そうとしていないのだと。
日々の繰り返しと人生をベルトコンベアになぞらえ、それに縛り付けられただ死へと流されゆく悪夢。
抜け出そうと思えば、降りようとさえすれば、その流れは簡単に止まるのに、そうしようとしないのだと。
救いを求め泣き叫ぶだけ。
立ち向かう意志があれば、そんなものは必要ないのに。
要するにそいつは逃げ続けているのだ。

どうしようもなくいらつく。
その女にも、シャドウにも。
……簡単そうに言う目の前の奴にも。
それ以上に。
…………。

俺は悪夢の中でどうするつもりだろうか。
自ら抜け出せと説得するのか、ベルトコンベアを破壊するのか。
もちろん、後のことを考えれば説得すべきだ。
説得できず強硬策を取れば、おそらく女は壊れたベルトコンベアに縛り付けられたまま、自力で立ち上がる術を失うだろう。
だが。
自力で立ち上がる姿を見た時。
立ち向かうことができない姿を見た時。
俺は何を思うだろう。

依頼を受けなければ良かった。
一瞬でもそうよぎった考えが、俺をあざ笑っている気がした。